わがスパル農園へようこそ!
外はシバれるけど、ここのビニールハウス内は温かいよ。
たわわに実ったウチのイチゴで、ひと足早い春を味わっていって。30分間、食べ放題だよ。え?こんなところにあったなんて知らなかったって? 無理もないさ。平成20年にオープンしたばかりだし、年に2回、4月上旬〜5月下旬と12中旬〜3月の土日しか営業してないからね。
そもそも、ウチは建設業が本業なのさ。
だけど、冬の間は雪で仕事にならないっしょ。先行きの不透明なこの時代、この状況をなんとか打破しないと、といろいろ模索した結果、たどり着いたのがイチゴの観光農園。とはいえ畑違いだから、イチゴ作りに関してはまったく一からのスタート。本を読んではいろいろと検討を重ね、土から何から、茨城の専門家の指導を仰いでね。だけど、まじめにやったら結果はきちんと出るんだなぁ、と、改めて謙虚な気持ちになったね。
譲れなかったのは、無農薬栽培であることと、使う水はすべて回帰水にすること。
来園した人たちに、採ってそのまま食べてもらえる——口に入るものだから、何よりも安全・安心である——ことが絶対さ。
回帰水は、自宅にVIPを付けていてそのよさを実感していたから、ぜひ!と思って。このイチゴの実、比較的小ぶりだけど、甘いよぉ。通常この品種(とちおとめ)の糖度は11〜12だけど、ウチのは16〜17もあるもの。だから、イチゴ狩りにお約束の練乳は必要ナシ。
バリアフリーで、車椅子でも楽しめます
もうひとつ、こだわったことがあって。
ハウス内の2列分の通路を広くして、車椅子が通れるようにしたのさ。
座った状態で手を伸ばせば届くように、栽培地も地面から上げて高くしてね。
これなら一般の人でもしゃがまずにすみ、体がこわく(しんどく)なくて一石二鳥でしょ。
実は父が福祉関係の仕事をしていたんだけど、障害者やお年寄りなどの視点で物を見ていたのが、無意識のうちに刷り込まれていたんだな。そういう点では、少しは親の夢を叶えてやれたかな、とは思ってる。
車椅子で入れる観光農園って、あまり聞かないっしょ?
来園した福祉施設の人から聞いたけど、今までは入り口で車椅子に座ったまま待って、家族やヘルパーさんが中で採ってきたのを食べるだけだったって。どんなにおいしくたって、それじゃあ楽しみは半減するよね。
自分で採る喜びや楽しさってのは、何物にも代えがたいもの。
まだペースがつかめないけど、たとえばここのイチゴでジャムやお菓子を作るとか、ここを基点に人やモノの交流を通していろいろと可能性が広がっていけばいいな、と思ってる。
採算的には、まだまだ赤字。
だけど、赤字だからとすぐに辞めてしまったり、何もしないで経費節約ばかりに走ったりするんじゃなく、将来を見据えての長期的なスパンで考えなきゃいけないし、行動を起こすことが大事。
仕事ってそういうもんでないかい?