稲庭 あぐりこうどん 佐々木製麺所  ~伝統の味を守り さらに進化させる回帰水~

 

 

麺好きの日本人。うどんも世に数多くありますが、香川のさぬきうどんと秋田の稲庭うどんは両雄と言っても過言ではないでしょう。さぬきの手打ちに対して稲庭は手延べ。四百年余の伝統を持つ「あぐりこうどん」も、若干の機械化はあっても昔ながらの手延べ製法を守っています。

佐々木製麺所に『回帰水』が導入されたのは平成4年。現在はVIPが使われていますが当初はMB-500だったとか。「先代が独立して製麺所を始める際に、後発メーカーだから何か付加価値が必要と考えたようですね」と、二代目である現社長の佐々木晴康さん。そのひとつが、笹や赤シソなどの体に良い自然食品。フリーズドライで粉末にしたそれらを生地に練り込んだものは今でも作っています。そしてもうひとつが「水」。活性炭を通すなど色々試していた時に知人から回帰水を紹介され、使ってみると、麺の肌触りが良くなり、食味も増すという結果に。「私が仕事を継いだ時には、すでに回帰水だったので、残念ながらその差は実感していません。でもお客様から、お宅のうどんは茹でてから時間がたっても味が変わらずおいしい。翌日でも茹でたて同様の味だったと言われて、やはりそれだけ違うのかと驚きました」一人前ずつ調理する専門店はいざ知らず、一般家庭では何人分も茹でたり、食べるタイミングがずれることも普通ですから、その差は重要です。

うどんの素材は「粉」と「塩」と「水」の3種のみ。シンプル極まりないのでどこに力を入れるかで大きく変わってくると佐々木さんは言います。「正直言って粉はどれでもあまり違いません。塩は高価なものほどミネラル分が多くてコントロールが難しい。となると水しかないですよね」。うどんにはミネラル分の多い硬水は不向きというのが常識ですが、回帰水はミネラル分を含んでいても軟らかいから良いと。また、粉と塩と水だけという配合は温度や湿度などの影響を受けやすいため、季節の変わり目には神経を使います。商品である以上、乾燥している冬でもじめじめしている梅雨時でも均一の品質でなければなりません。まさに日々の塩梅ひとつにかかっており「一年中均一の品質を保持することが一番難しい」

自分は現場の人間、職人であると言う佐々木さんは、毎日午前2時半頃には起き出してうどん作りに取り掛かります。生地に触って、延ばした生の麺に触って、乾燥したものにも触って……一年を通して日々麺に触れていると、茹でて食べるまでもなく出来の善し悪しがわかるそうです。そんな佐々木さんの目指すところは、基本に戻って飽きの来ない普通のうどんを作ること。「変わり種もいいけれど、それを毎日食べ続ける人は少ないでしょう。やはりいつ食べてもおいしいと思える普通のうどんが一番なのでは」

「普通」で勝負することは何より難しいことかもしれませんが、同業仲間でも評判のおいしさを、これからも回帰水が守り続けてくれることを確信している佐々木さんです。

 

●秋田県雄勝郡羽後町杉宮字元稲田149—3

TEL(0183)62—0138

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2017年02月10日