回帰水・食のネットワーク 「うちのたまご」 ~ 回帰水のたまご~

 

平成23年に誕生した九州発のブランド卵『うちのたまご』。多少高価ながらも「黄身が濃厚でクリーミー」「臭みがない」などそのおいしさ、そしてサルモネラ菌と無縁の安全・安心性も加わって評判になり、地元・九州のほか東京・大阪にも出荷され、また、人気の豪華クルーズトレイン「ななつ星in九州」の食材に採用されていることでも知られています。この『うちのたまご』には回帰水で飼育された親鶏から産まれたものもあり、それがメンバーさん達のもとに届けられているのです。安心して食べられる安全な卵はどのようにして生産されているのか、生産・販売を手がけているJR九州ファーム株式会社にお話を伺いました。

江戸時代、長崎に着いた砂糖を江戸や九州内部へ運ぶ「砂糖の道」・長崎街道筋にあった宿場町・内野。その地名と「家の」とをかけて名づけられた『うちのたまご』。JR九州の所有・運営するゴルフ場の一角に養鶏場を設けて事業所を設立、『健康なたまごは健康な親鶏から』の理念のもとに、平成23年末からJR九州ファーム(株)飯塚事業所〈旧JR九州たまごファーム(株)〉が生産・販売を行っている鶏卵です。

「どうです、この黄身の色! 併設する直売所に見える年配のお客様からも『昔ながらの色ね』と言われますが、この黄色が本来の鶏卵の自然な色。昔、庭先で飼われていた鶏のね。近年では着色してある卵も見かけますが、うちでは一切行っていません。安全の証であるこの色にはこだわっています」と北島忍事業所長が胸を張れば、「JR九州は長らく、鉄道を通して誠実にお客様に安全と安心を提供してきました。その姿勢は新たに参入した農業においても変わりません」と、JR九州ファーム田中渉社長が言葉を添えます。

 

鉄道事業で得た信頼と期待を土台に、新たな価値ある商品を

農業が変革を余儀なくされているこの時代、九州の基幹産業である農業に関わることで地域活性化に貢献したい、と平成22年に農業分野に参入、生産から販売までトータルな視点でチャレンジしているJR九州ファーム。長年培ってきた信頼と期待に応え、安心・安全はもとより新しい価値のある商品づくりに取り組んでいます。「今は価値の内容が理にかなって明確であれば、価格に反映させてもきちんと評価される時代。そんななかで従来の枠に縛られず、農業をクリエイトし農業の開拓者を目指したいと思っています」と田中社長。とはいえ、元来が農業に関しては素人とあって、技術については尊敬する先駆者の指導を受けて進めることに。「ありがたいことにJR九州という組織力とブランド、信用があると、業界の情報が豊富に入ってきますから。これは私共の強みだと思っています」

 

 

健康な卵は健康な親鶏から

山側に巡らせたフェンスで鹿や猪などの害獣から守っている内野宿養鶏場。清掃も行き届き、場内はとても清潔に保たれています。全6棟の鶏舎で飼育されているのは、9600羽のボリスブラウン種。病気に強く、産卵率の高いのが特長です。

この養鶏場の大きな特徴は、「健康なたまごは健康な親鶏から」という視点。衛生、栄養、行動等々ストレスがない環境下で飼育された鶏は健やかであり、産む卵も当然ながら健康であるというわけです。1棟の鶏舎内には50メートルのケージが2層。内部を細かく仕切ってある養鶏所が多いなか、ここではケージ内を細かく仕切らず、鶏が自由に動き回れるファミリーケージを採用しています。ここに生後120日の雌鶏を一斉に鶏舎に入れて(=オールイン)飼育を開始。14ヵ月で飼育を終了し、一斉に鶏舎から出して(=オールアウト)、空になった鶏舎を水洗・消毒して1ヵ月休ませるというローテーションを組んでいます。これだと6棟のうち1棟が遊休状態になることも多いのですが、効率よりも親鶏の健康を優先させてのこと。この期間を設けることで養鶏場が清浄に保たれ、特に留意すべきサルモネラ菌については定期的に公的機関の検査を受けていますが、創業以来、一度も検出されたことはありません。また、鶏舎内に入る人員を限定するかたわら、事業所内の人間にも消毒を施すなど、衛生保全は徹底しています。

 

品質を守るため、洗わず出荷

餌はサイロでの大量貯蔵を避け、袋入りのものを毎朝開封して新鮮な状態で与えます。「サイロで長く貯蔵していると、角などにたまった飼料にカビや細菌が発生してきます。そんな餌を食べさせるわけにはいきませんからね」と北島所長。併せて毎朝の集卵時には飼育担当者が鶏の様子をチェックし、注意を怠りません。こうした手をかけた丁寧な飼育により親鶏は健康を保つことができ、安心・安全な卵を産むことができるというわけです。健康な卵はクチクラというたんぱく質の膜で覆われおり、空気は通しますが、カビや細菌を通しません。そのため『うちのたまご』は、あえて洗わず——クチクラを洗い流してしまうと、サルモネラ菌繁殖の可能性があるため——出荷しています。

 

 

選ばれたことで自信がついた

回帰水を使うようになったのは2年前。ここでは地下水を使っていますが、2棟に特注セラミックパイプを通した回帰水を給水、1棟分の卵をメンバーさん専用としてタイセイ(株)が買い上げています。タイセイの水に対する姿勢や責任感に感銘を受けたという田中社長。「確固たる企業理念を持つタイセイさんに選ばれたということは、『うちのたまご』が安心・安全・健康と認められ、信頼されたということ。弊社の生産方法は正しかったと自信を頂きました」

今後はさらに飼育数を増やし、販路を拡大して広く流通させていきたいとのことですが「卵は毎日のように食べる連続性のある食べ物だけに、味の変化には容易に気づくもの。回帰水を使っていることで安心しすぎず、『味が落ちたな、他の養鶏場に変えよう』と言われることのないよう、手を抜かず、日々胸の張れる卵を作っていきます」と笑顔で語ってくださいました。

 

2016年02月28日