城下町の面影を残す会津若松の奥座敷として親しまれ、かの土方歳三も戦傷を癒やしたという東山温泉。渓流沿いに並ぶ旅館のなかで、小ぢんまりと落ち着いた趣で迎えてくれるのが「いろりの宿 芦名」です。
名前のとおり旅館内にはいろりが切られ、古民家風の設えと相まって醸し出される雰囲気は寛ぎ感満点。客室は7つと少なく、「だからこそ納得のいくおもてなしができる」と、女将の和田美千代さん。
いろりは1階に部屋の数だけ切られており、食事はここでいただくようになっています。自宅の畑で育てた野菜をはじめ希少な天然イワナや地鶏に鴨に会津牛…。地元の恵みを用い愛情のこもった郷土料理の数々には、目も舌も大喜び。
時にはいろり端に語り部の方がやってきて、お故郷ことばで土地の民話を聞かせてくれたり、昔ながらの遊びを教えてくれたり——。温泉でほぐれた体と心に、豊かな時間が染み込んでいきます。
そんな細やかなおもてなしに、『回帰水』も一役買っています。5年ほど前にVIPを導入、館内の生け花をはじめお客様の飲料用や料理に使っていますが「活けた花はみずみずしさが長持ちしますし、部屋置きの水のお代わりも増えました。お客様が『おいしい』と喜んでくださって」。そんな声に応え、自販機に500ミリリットルのペットボトルを置くようになりました。
好評なのはスタッフにも同じ。「この水で飲むお茶は格別」「主人がこの水でないとダメだって」と、VIPから汲んで自宅に持ち帰ることも多いそう。
温泉が特に恋しくなるこの季節、しっとりと落ち着いた大人の時間を過ごしたい方はぜひ足を運んでみてください。女将達のホスピタリティに、リピーターになること請け合いです。
いろりの宿 芦名
福島県会津若松市東山町湯本下原232‐1
TEL(0242)26-2841