利根川、霞ヶ浦という豊かな水資源を背景とし、水郷として知られる茨城県潮来の北浦の湖岸で、釣り堀『潮来マリーナ』を営む村山さん。
「水郷の名に恥じず、かつてはここもすくって飲めるほど水がきれいでね。朝、湖岸を散歩するとヘラブナ、マブナ、ボラ、鯉などの魚影がよく見えたものでした」。ヘラブナを放流した釣り堀は、湖水を利用して生簀状態にしたもので、脇にはクレソンを栽培。水面の菱藻と併せて自然の浄化効果があり、一方、クレソンは品質のよさから青果市場から指名で注文がはいっていたほどだそう。
しかし、時代の変化に伴い、生活排水による水質汚染の波は、ここにも押し寄せてきました。まず気づいたのが、魚に寄生虫がつかなくなったこと。「農薬だね。畑や家庭菜園とかで使うでしょ」。1999年頃からは湖岸にアオコと白い泡が見受けられるようになり、次がクレソン。わずか2年で全て枯れてしまったのです。危機感を覚えた村山さんは地元住民達と「北浦の自然を守る会」を結成、独自に水質調査をするなど、周囲に警鐘を鳴らしていました。
事件が起きたのは2005年の夏。アオコが大量発生し、釣り堀のヘラブナがほぼ全滅。その量およそ10トン!当時の北浦の湖岸には腐敗して黒ずんだアオコと白い泡が混じり合って浮かび、厚さは数センチにもなっていたそうです。前年にも同様の被害で1トンほどのヘラブナを失っており、このままでは同じことの繰り返しに……、と廃業を考えた村山さんでしたが、静岡県の池ケ谷さんの釣り堀で『回帰水』での水質改善を知り、「うちでも期待できるんじゃないか」と、MB—1200を導入。
くみ上げた地下水を通して釣り堀に一日中流しっ放しにしてみたところ、「クレソンにはっきり結果が出ました。2ヵ月ほどしたら、また青々と育ちだしてね。ヘラブナの餌の食いつきもよくなったな。水が汚れていると食いつきが悪いんだよ。生き物は人間が思っている以上に敏感で、いろいろなことを教えてくれる。改めて、水の重要性を認識させられました」。
以来、アオコの被害からも解放され、今日まで釣り堀に『回帰水』を流し続けている村山さん。新たにブラックバスの釣り堀2つもオープンし、こちらにはPC—03を設置。
また、休憩所等の施設内にはVIPを導入、マリーナで使うのは総て『回帰水』と徹底しています。「これで少しでも北浦の水が浄化されてくれればね。自分達の生活は自分達で守るのが基本。行政に任せっきりにするのではなく、一人ひとりでできることを進めていかないと」