小杉湯【自然回帰水使用の人気銭湯】

 

昔ながらの賑わいを残す、高円寺の駅前商店街の少し脇に小杉湯がある。空高く突き出た煙突と、正面に唐破風を備え、寺社建築にも似た「宮造り」の重厚なたたずまい。これは全国的に銭湯の典型的な建築様式かと思えば、実は東京を中心とした関東近郊以外ではあまり見受けられないものだとか。寺社に似ているのは、入浴による病気やけがの平癒の願いと信仰とが結びついた結果らしい。

それはさておき。ジェットバス、ミルクバス、水風呂の3種に加え、土日はゆず湯やよもぎ湯などの漢方湯も楽しめる小杉湯。あたり一帯は戸建やマンションの多い住宅街にもかかわらず、利用客が一日平均して300人を超えるという。
「なかにはバスや電車でわざわざ遠方からいらっしゃる方も。ありがたいですね。男女を問わず、いろいろな年代のお客様がいらっしゃいますが、意外と若い方も多いんですよ。一人だと気後れするのか、何人かで連れ立って見えたりね。11時を過ぎると、バイトや仕事帰りの人たちがメインになるかしら」と、ご主人と共に小杉湯を営んでいる平松和子さん。
ここではタオルや洗面グッズなどを個別ロッカーにキープ可能。手ぶらでOKの手軽さから、内風呂があるにもかかわらず、駅→小杉湯→帰宅・就寝という『おひとりさま』も多いのだそう。

 

 

ポカポカ&しっとりすべすべ回帰水風呂で温泉気分

人気の理由は、なんといっても「回帰水」。小杉湯に備わっているジェットバス、ミルクバス、水風呂、そしてシャワーにカラン…。すべてに回帰水を使っている。これが「すべすべして肌がきれいになる」「ポカポカして湯冷めしない」「疲れがとれて、心身ともリラックスできる」と評判を呼び、温泉みたいな銭湯がある、と口コミでだんだん広がっていったわけ。
「理想は温泉だったので、狙いはバッチリですね(笑)」と和子さん。加て浴槽の壁にラドニカも設置したところ、「汗がよく出るようになった」「腰などの痛みや肩の凝りが楽になった」と、こちらもお客から大好評。

そもそも和子さんとの回帰水の出会いは約8年前。リュウマチに悩まされていたのが、回帰水での水飲み健康法を続けるうちに体が楽になっていったという。「おかげで今は痛みもなく、普通に動けます」身をもって水の重要性を実感し、平松さんご夫妻は回帰水の導入を決めたのだとか。

 

 

情報と人が集まるサロン的存在に

ユニークなのは、お風呂だけではない。入ってすぐに待合室が設けてあり、お風呂上がりにゆったりくつろいでもらえるようにソファとテーブルが備えてある。造り付けの棚には漫画がズラリと並べられているほか、月替わりのギャラリーとして、壁面や棚に作品を展示。お客の目も心も潤してくれる。渇いたのどを潤してくれるのは、もちろん回帰水。部屋の一角にはVIP取り付けられており、飲み放題になっているのもうれしい。

心も体もほぐれれば、そこからお付き合いが生まれるのも道理。ここで出会った人達と、広い浴場を活用しての太極拳のレッスンのほか、落語やコンサートなどを企画・開催したり。

その一方で、回帰水を使用した農産物や食品の販売会も実施。月に1度、野菜や米、味噌、パン、キムチなどが全国から送られてきて、待合室はにわかマーケットに。

「共同浴場って、昔から人々の情報の発信や交換などのサロン的な側面もあったはず。うちも、ぜひそういう存在でありたいですね。可能性はまだまだ広がると思います」

毎日寝るのは朝の4時過ぎ。忙しいけれどやりがいがあると、にっこりほほえむ和子さんでした。

 

【小杉湯】
営業時間 15:30~深夜1:45
定休日 木曜日
料金 大人450円・子供180円・幼児80円
※大人と一緒の幼児は2名まで無料。

小杉湯ホームページ http://www13.plala.or.jp/Kosugiyu/

2010年01月21日