「章姫」を『回帰水』で甘く、大きく!

 

うちのとこでは11月下旬から翌年の6月ぐらいまでイチゴが採れますが、作ったイチゴは市場には出さず、全部ここで直売します。このやりかたで30年間やってきました。この辺りは観光地ですし、神戸や三重とか結構遠くから買いに来てくれますね。

この「章姫(あきひめ)」という品種ですが、初めて見たときにうちらのような直売農家にぴったりだと思いました。見た目の大きさでびっくりして、食べて甘くおいしい。でも他のイチゴと違い、日持ちが短いんです。だから市場には出せません。料理屋さんやホテルのシェフの方が使いたいと言って来られますが、その日に使ってもらわないかんし、ほとんど断ってますね。前にどうしてもというお客様に、4時間かけて車でお届けしたこともありますが、原則は直売しかやっておりません。

 

栽培の仕方はご覧のように土耕栽培ではなく、培地に水と飼料を混ぜた液をしみ込ませて育てる「溶液栽培」です。いちごは頭寒足熱で、昼間暖かく夜には葉っぱや茎が冷えて、なおかつ根の温度が下がらないようにするのが糖度を上げる秘訣です。そやから温水をパイプに通して根っこをぬくめるんです。まあ床暖房みたいなものですよ。ハウスのビニールを二重にすれば夜間の温度が下がらないので、ボイラーの燃料費が低くて済むのですが、それやと葉や実が冷えないんですね。経費は掛からないけど、おいしいイチゴもできません。

それとハウス内に蜂の巣箱がありますでしょう。あの蜂が大切なんです。

イチゴは風によって受粉して実がなるのですが、ハウス内では受粉するほど風が入らへんからその代わりを蜂がやりおるんです。絶対必要なんですわ。活発に飛び回らないと、イチゴの形が悪いんですわ。自然の力はすごいですよね。

無農薬号を導入したのは、もちろんいいイチゴを作りたいからです。わたしはイチゴにいいと聞いたらなんでもやりたくなる性格なんですわ。うちとこのいちごは柔らかいもんで、カルシウムを加えて味をしっかりさせたかったんです。だからコーラル珊瑚が入っているVIPならぴったりだと思い、畑に据えようとしたら、それはダメと言われて…。そこで豊橋で冬瓜を作っていらっしゃる岡本さんを紹介していただき、相談したら無農薬号がいいでしょうと勧められましてね。結局VIPは台所で使い、畑には無農薬号です。いまでは無農薬号の水を3タイプの飼料と混ぜ合わせて使っています。この成果がどんなところに表れているのか、はっきりしたデータを取ったわけではありませんが、イチゴの旬の期間が延びているんやないかと感じています。章姫のおいしい時期は1月から3月上旬ぐらいでしたが、今では4月上旬までおいしく食べられますよ。

いまは直売所だけですけれど、これから無添加のイチゴジャムやシャーベットを作ろうと考えていますし、観光に来たお客様が休憩できる施設も考えています。そうしたら回帰水の利用がもっと増えるでしょうね。

2009年09月07日