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イベント情報

イベント報告:酒井大阿闍梨・日野原先生 心の講演会
2009/10/14

日野原重明先生 特別講演「よき死に連なるよき生き方」
酒井雄哉大阿闍梨 特別講演「千日回峯行・堂入り編」

開催日・2009年9月26日(土)
会場・パシフィコ横浜 国立大ホール
主催・米国財団法人 野口医学研究所
後援・タイセイ株式会社・グリーンプラネット
  • 第一部・日野原重明先生講演
  • 第二部・酒井雄哉大阿闍梨講演
  • 第三部・お二人の対談

 

 

 

 

 

平成21年9月26日、日野原重明先生と酒井雄 大阿闍梨による「心の講演会」がパシフィコ横浜 国立大ホールにて行われました。これは平成20年6月、東京で行われた日野原先生の講演会の反響が大きく、「もっとお話を聞きたい」という声に応えたもの。平成20年同様、野口医学研究所の主催、タイセイ株式会社とGPの後援によるものですが、今回は雑誌『いきいき』が協賛者として参加。日野原先生に加え、「現代の生き仏」と言われる酒井大阿闍梨のお話も伺えるという贅沢さに、来場者が5000名という大規模な講演会となりました。
お二人の講演の後には『いきいき』の片寄斗史子編集長も加わってのトークショーも行われ、さらには歌手の塩谷靖子さんから素敵な歌のプレゼントも。実は10月4日が誕生日という日野原先生。そこで、大きなバースデーケーキが壇上に運ばれ、会場全員で「ハッピーバースデー」を大合唱してのひと足早い誕生祝いで、講演会を締めくくりました。

「どう生きるか」は「どう死ぬか」ということ

野口医学研究所の浅野会長、そしてアメリカから駆けつけてくださった日野原先生の大親友、ジョセフ・ゴネラ先生(米トーマス・ジェファーソン大学名誉医学部長)の挨拶に続き、まずは日野原先生のお話です。
日本では百歳以上の生存人口が4万人を超えた昨今、「60過ぎてもまだジュニア、シニアは75歳から」と日野原先生。
年を重ねるにつれて自由に使える時間が増え、周囲に遠慮する必要もなくなるのだから「老いてこそ自由人。だからこそ生きがいをもち、そのために健やかに長生きをしてほしい」と続けます。では、その時間をどう使い、どうよく生きていくか? 
 
生きることは、裏を返せば死に近づくこと。即ち「どう生きるか」は「どう死ぬか」ということです。60歳でよど号事件に巻き込まれ、死の危機に直面した際に「生き方のポリシーが決まっていないことを情けないと思った」のが契機となり、人生観が変わったという日野原先生。人は死に方は選べないが、そこに至るまでにどう生きるかは選ぶことができるもの。また、人的環境や文化的環境も、自分で選択できるもの。誰を友人とし、人や物とどのように出会いをもってどんな発見をし、関わっていくか。それを決めるのは自分次第であり、いくつからでも始められるという言葉に、ハッとさせられた人も多かったのではないでしょうか。
そして、与えられた命をどう使うか、人から受けた恩をどう返していくか?人から受けた恩を他の人、あるいは次の世代に与え伝えていく——それは間接的な恩返しでもあり、与えることで心がいつにも増して満たされるもの。「それこそが生きがいであり、人のために時間を使えば、それが意味ある命となっていく」との言葉は、一同の胸に深く刻まれたことでした。

やるかやらないか、逃げるか立ち向かうか

第二部の酒井大阿闍梨は、千日回峯行での9日間のお堂入りのお話を中心にされました。一日40キロメートルの険しい山道を歩くこと700日、最後の9日間をお堂に籠り、畳一畳程度の上で座禅を組んでお経を10万遍唱えるといいます。不眠不臥、断食断水という過酷を極めるもので、3日目くらいから唇が割れ裂け始め、4日目には皮膚にしみが浮き出て爪の色も変わり、死臭も漂い始める……聞いているだけでも壮絶ですが、実際に命を落とす行者も多く、特に酒井大阿闍梨の行った飯室谷回峯行は、あまりの過酷さゆえに江戸中期以降は中断されていたとのこと。それを、一度ならず二度までも行ったのが酒井大阿闍梨です。
堂入り中で口にしていいのはうがい用の水だけ。あまりの渇きに思わず、うがいにかこつけ飲んでしまいたくなる衝動に駆られ「少しばかり飲んだとしても、周囲は気づかぬか見て見ぬふりをしてくれる」と確信したものの、「仏様には嘘をつけない」と、踏みとどまったといいます。また、5日目になると幻覚にも襲われ、ある時、えも言われぬ心地よい浮遊感を味わったそう。「たぶん、あれが生死の分かれ目だった」とのことですが、すべてをやめ、このままその感覚に身を委ねてしまいたい誘惑に打ち勝てたのは「自分は何のために行をやっているか」という目的意識、そして自分一人のために多くの人々が動き、労力を捧げてくれていることへの感謝と、その恩に報いるためにもやり遂げなくてはという使命感でした。
選択は二つに一つ。「やるか、やらないか。逃げるか立ち向かうか。人生は前に進むしかない」誰への言い訳もきかない極限状態を経た酒井大阿闍梨だけに、その言葉は単純ながらも深く、力の宿ったものでした。

30歳時の体重を目指そう

第三部のトークショーでは、人生を有意義かつ積極的に生きるためには、まず自立した健やかな生活ができることを前提とし、そのための秘訣や「30歳の時の体重を目指す」などのアドバイスなどが披露されました。その後は日野原先生のたってのご希望で、盲目の歌手・塩谷靖子さんからの素敵な歌のプレゼントが。8歳で失明したという塩谷さんはハンディに負けず、日本初の全盲のコンピューター・プログラマーとして点字変換用のソフトを開発。しかも42歳で声楽を始め、現在はプロの声楽家として活動しているという、挑戦を恐れず障害をものともせずに、着実に成果を自分のものにしている女性。歌の素晴らしさもさることながら、塩谷さんの生き方に感銘を受けた聴衆も多いことでしょう。
98歳と83歳、ともに長寿で健やかなお二人のお姿とお話に心を打たれ、塩谷さんの声と人生に心潤され、同時にわが身を振り返り…と、聴衆の皆さんは、実に豊かなひとときを過ごすことができました。

 

 

 

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