[いちじく]中村珍久/キヌエさん〜回帰水での農業〜

 

伝統の品種を守る回帰水。

 

「蓬莱柿」という名前を聞いて、どんな果物を思い浮かべますか?

何やらおめでたい名前にも見えますが「柿」と付いていても、これは「いちじく」の一種。西アジアが原産といわれるいちじくは旧約聖書にも出てくるように、ザクロやぶどうと並んで世界的に最も古い果物のひとつです。

日本へは17世紀前半に中国のものが伝わり、蓬莱柿と呼ばれて西日本を中心に栽培されるようになりました。

いちじくには数多くの種類があり、明治時代以降、アメリカなどから導入された品種が全国的に広まったため、区別するために蓬莱柿を在来種として「日本いちじく」と呼ぶこともあります。

蓬莱柿は生産量が少なく、傷みやすいため、地元以外に出回ることがほとんど無かったのですが、流通方法の発達した今日、その上品な甘さや独特の食感、風味の良さが知られるようになり、希少品種として注目を集めています。

その蓬莱柿を『回帰水』で丁寧に育てているのが中村さんご夫妻です。

中村さんと回帰水のお付き合いは、15年程前にVIPとSPAから始まりました。

キヌエさんは、初めてSPAのお風呂に入った時、あまりの気持ち良さに、ご主人に心配されるほどお湯から出てこなかったそうで、「この水は作物にも絶対良い」と確信したとのこと。

現在、山あいの10アールほどの畑に約25本の蓬莱柿が植えられており、すぐそばを流れる小川の山水を溜め、『農業用どんぶら子』を入れて、畑に散水しています。

栽培を始めて20年以上になりますが、回帰水を使うようになって「はっきり味が違って、おいしくなった」。枯れる木も無くなり、最小限の消毒の低農薬栽培でも病気にならず、害虫も減りました。

収穫の済んだ木は下芽を残して剪定し、次の新芽の育つのを待ちますが、木を大きくしてしまうと実が大きくならないため、剪定には神経を使います。

この辺りではいちじくはどこの家の庭先にもあるような木で、中村さんも以前は「こんなものが何で高く売られているんだろう」と。

でも実際に手掛けてみてわかったと言います。心を込めて手を掛けて育てないとおいしくならない。そして感謝しながら実を採るとも。

野菜以上に天候に左右されやすく、収穫時期に低温が続くと実がいつまでも大きくならなかったり、突然気温が上がって一晩で一斉に熟してしまったり……本当に生り物は手間隙掛かり、「回帰水のサポートが欠かせません」。

中村さんは他にも、季節季節の野菜や果実、ユリや菊などの花も作っており、苗づくりにはもっぱら『無農薬号』が活躍。

どんなふうに育つか想像しながら種を播くそうで、様々に工夫しながら、楽しみながら作物と向き合っています。

畑作業はけっこう重労働ですが、ご夫妻とも70代半ば過ぎとは思えない元気さ。それも回帰水と回帰水で育った野菜や果物のおかげとのこと。

「毎日、畑や作物から力を貰っているからですよ、きっと」。

 

2016年11月26日